生産・出荷工程

1.種苗生産

人工授精した浮遊幼生に植物性プランクトンを給餌しながら、1トンの水槽で幼生の成長を待ちます。 約1ヶ月飼育すると吸盤のような組織が発達してくるので、採苗器として軟材コレクターと呼ばれる樹脂製の円盤を水槽に配置します。 すると幼貝は軟材コレクター表面に付着します。 
一般的なイワガキの養殖では、その材料の入手が容易であることから、ホタテガイの殻が採苗器として使われてきました。
「春香」では個々のイワガキに十分な栄養が行き渡ることを重視し、種苗の段階で幼生同士を独立させやすいよう、柔軟な素材を用いた軟材コレクターを選択。

2.沖だし

幼貝を魚の食害から防ぐネットを張った筏に垂下し、天然のプランクトンにて 5~10mm (小指の爪)程度の大きさまで穏やかな内湾にて育成します。
その間に害虫からも幼貝を守るため塩水浴も行います。

3.マイクロバブル照射

海中でマイクロバブルを照射し、雑菌の繁殖を抑えると共に成長を促します。 
マイナスの電荷を帯びたマイクロバブルが表面の雑菌や異物に付着・吸着し、浮上することで、稚貝から雑菌や異物を除去します。

4.稚貝剥離

振動により軟材コレクターから稚貝を剥がします。 

5-6.カゴの養殖

カイデライト®接着できる大きさになるまで、 成長に応じてカゴを変えながら個体養殖していきます。

7.カイデライト ® 接着 

牡蠣養殖用セメント・カイデライト®で3つずつロープにイワガキを固定します。 
従来のイワガキ養殖では、蠣殻に小さな穴を開け、テグスを通し、そのテグスでロープにイワガキを固定する耳吊り(みみづり)という手法が主に用いられてきました。
この手法では均一な固定が難しく、餌となる植物性プランクトンの捕食にばらつきが出やすいことから、成長度の個体差が大きいため、植物性プランクトンの少ない外洋養殖では十分な成長に至らない個体も出ることが懸案材料でした。
そこで、カイデライト®による固定方式を導入。特殊なセメントを用い、ロープの周囲にイワガキを貼り付けます。均一な固定は成長を促し、耳吊りに比較して成長率が10%から20%向上しました。 なお、カイデラ イト®は牡蠣養殖用として開発されていますので、 イワガキの成分には全く影響を及ぼしません。

8.カイデライト ® 垂下養殖 

カイデライト®接着後、外洋で2年。ゆっくりと成長します。

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